シンガポール・リテール銀行雑記

HSBCシンガポールのプレミア口座を中心に、シンガポールのリテールバンクの利用方法をアップしていきます。

適格投資家制度 - Accredited Investor

シンガポールで投資をする上で知って頂きたい制度の一つに、Accredited Investor(適格投資家)制度があります。
これは、シンガポールの金融監督当局であるMonetary Authority of Singapore(以下、MAS) が定めたもので、投資家(主にリテール顧客)保護を強化するための方針でもあります。
個人投資家が以下の基準のいずれかに該当するとAccredited Investorとして見做されます(法人のAccredited Investor基準もありますが、この記事では省略します)。

  • 個人の純資産がSGD2,000,000相当額以上、もしくは
  • 個人の金融資産がSGD1,000,000相当額以上、もしくは
  • 直近12ヶ月の収入がSGD300,000相当額以上

通常、シンガポール国内で販売される株、債券、ファンドなどの投資商品は全て目論見書をMASに登録する必要があります。加えて、投資商品を販売するブローカーはMASから免許を取得する必要がありますが、Accredited Investorに対してはこれらのプロセスを経ることなく販売することができます。何故なら、Accredited Investorはリテール顧客に比べ投資知識や経験がありかつリスク管理ができると見做されているためです(この点は定性的なもので、個人的には資産額だけで判別できるものではないと思いますが、制度上このように定義されています)。
結果として、制度上リテール顧客はMASに目論見書を登録していない債券やヘッジファンドプライベートエクイティへの投資はできません。HSBC等のリテール窓口でAccredited Investor基準を満たさないリテール顧客が債券を購入できないのは、これらの事情が背景にあります。

尚、以前は投資家が自分はAccredited Investorであると申告し、金融機関所定の書類に記入することでAccredited Investorと見做されていましたが、昨年からAccredited Investorであると申告する投資家は、保有資産内容を証明する書類(銀行の取引明細書等)の提出もあわせて必須となりました。
もう一つの変更点として、より高い投資家保護を享受したい(MASに登録されている投資商品を購入したい、購入時に十分な商品・リスク説明を受けたい場合等)投資家について、Accredited Investorの基準を満たす資産を保有していても、Accredited Investorステータスを必要としない場合はその旨申告(Opt-out)をすることで認められるようになりました。
最後に、Accredited Investorについての詳細は、MASのウェブサイトよりご確認いただけます。