シンガポール・リテール銀行雑記

HSBCシンガポールのプレミア口座を中心に、シンガポールのリテールバンクの利用方法をアップしていきます。

銀行口座を作るなら香港かシンガポールか

プライベートバンクであればシンガポールブッキングの口座を開設し、香港ベースの営業担当者にて担当することが可能(逆も然り)ですが、リテールですとそうはいきません。香港で開設した口座は香港でライセンスを所持する担当者、シンガポールで開設した口座はシンガポールのライセンスを所持する担当者が担当します。

昔からの金融都市である香港と、ライバル香港を追い越すべく毎年力をつけているシンガポール。リテール顧客である我々が口座を開設するにはどちらがよいか、検討材料をあげてみます。

まず香港から。

長所:

  • 地理的利便性。シンガポールに比べ日本からの距離が圧倒的に近い。東京からでも片道4時間、頑張れば日帰りも可能。
  • 情報量。昔から日本人の海外口座開設先として絶対的地位にあり、ネットでもある程度の情報は手に入る。
  • 支店数。特にHSBCは香港域内至るところにある。
  • 銀行間競争が激しく、為替や送金等の諸手数料がシンガポールに比べ割安(あくまでHSBCのお話です。全てを比較したわけではないので悪しからず)。

短所:

  • 香港在住者向けにプラットフォームが作られているので、郵送やFAX等リモート対応が充実していない。休眠状態解除や投資口座開設等、原則香港の銀行窓口で手続きを行う必要がある。
  • 言語。日本語可能な香港人HSBCの某支店に常駐との情報もありますが、原則広東語か英語での対応となる。リテールだとどの銀行もまず日本語対応不可と考えたほうが無難(ニッポンウェルス銀行は例外)。
  • 政治リスク。これは人により意見が割れる内容だと思います。個人的に現時点ではあまり心配していませんが、中長期的には気になります。

続いてシンガポール

長所:

  • 日本人もしくは日本語対応可能な銀行が多い(現時点で把握しているだけでもCitibank, DBS, OCBC, HSBCに日本人もしくは日本語可能な担当者が常駐)。
  • オフショア顧客向け窓口が充実している。郵送やFAX等で海外からも各種依頼や取引指示が可能。
  • バンキングサービス。HSBC Everyday Global Debit Cardのように、最先端のバンキングサービスを各銀行が挙って打ち出しており、この点全体のレベルが高い。
  • 政治的安定性。建国時より絶対的な現与党による安定した政治が行われている。金融業を基幹産業と位置づけ、制度面、税制面で優遇(キャピタル・インカムゲイン無税。この点は恐らく香港も同様)。隣国マレーシアとの関係は必ずしも常に良好ではないものの、差し迫った脅威はない。

短所:

  • 地理的なアクセス面、特に日本からの距離。東京からは片道7時間半かかるので、気軽に行ける場所ではない。
  • 情報量。日本語担当者がいるのである程度補うことはできますが、そうではない場合、香港に比べるとネット上に出回っている情報は少ないのが現状(これを打破することが本ブログの趣旨でもありますが)。
  • HSBCプレミアの最低預入金額。香港のHKD1,000,000相当(約USD128,000)に対してシンガポールはSGD200,000相当(約USD145,000)と高めに設定。

尚、香港もシンガポールもUSD建投資商品のラインナップは充実しており、投資環境の面ではさほど両者大きな差はないと思います。ただし、香港の口座からは投資可能な一部のファンドや債券がシンガポールでは不可であったりということはあるかもしれません(逆も然り)。

また、将来的には誰でも歳を取り、相続といった問題も発生してきます。その際の対応をどうするのかという点も考慮すべきでしょう。

どちらも一長一短ですが、いずれか片方を勧めることはせず、ご自身で判断いただけるよう、敢えてそれぞれの長所短所を思いつくままに列挙するだけのスタイルを取ってみました。